ヒト免疫不全ウイルスに感染すると、検査によりHIV感染症の診断が下されます。誤解されがちですが、この段階ではまだエイズではありません。免疫機能がウイルスを抑えきれなくなり、規定された23の疾患のうちの1つ以上に罹患したときに、「エイズ」と診断されます。
HIVは比較的感染力の弱いウイルスではありますが、ほかの性感染症と同様、膣性交のほか、オーラルセックス(フェラチオ・クンニリングス)、アナルセックス、素股行為でも感染します。
以前は「死の病」であったHIV感染症/エイズですが、優れた薬の開発と治療法の進歩により、現在ではエイズ発症を長期間抑えられるようになりました。それでも国内のHIV陽性者のうち毎年30%前後がエイズを発症しており、HIV感染症がリスクの高い病気であることには変わりありません。
国内のHIV陽性の新規患者数は近年横ばいで、毎年1000~1200人の方が新たにHIV陽性の診断を受けています。一方で、ある研究では、現在国内では約4000人の人びとが、自身のHIV感染に気づかずに生活しているという推定がなされています。